インバータ制御電車概論 〜第1章・別章1〜
2004年1月24日 鉄道系
昨日、第1章をやっと読み終えました。
第7章まであるので、まだまだ序の口ですが。
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この手の専門書、ついに手を出してしまった感があるのですが、やっぱり読み応えが文庫本の類とは比べ物にならないです。
っていうか、そもそもあんまり理系じゃない人間、しかも高校数学や物理もロクに習っていない厨房が読んでるんで、もうわからないところは無視してます。
1冊まるまる読み終えたあとでもう一度読み直せばいい…という邪な考えの下で。
?
しかし、こんな素人でも、インバータ制御の技術がいかに画期的か、ということが、十二分に伝わってきます。
この間も書いたけど、難しそう…なんて言ってないで、みんな読むべきじゃないのだろうか。
まぁ、明らかに誇張表現なんだけどね。
?
別章1に、「従来車両(直流車)の保守と性能」と題して主に抵抗制御車について書かれていますが、こちらははるかに簡単に読み進めることができました。所詮抵抗制御は単細胞なんです。大袈裟か。
…なんか敬体がキツくなってきたんでしばらく常体でいきます。
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それにしても、読めば読むほどインバータ制御車の偉大さが分かってくると同時に、直流電動機車、特に抵抗制御車への憤りが増してくる。
ISO14000シリーズの内容に含まれる、「エネルギー」「排出ガス」「騒音」「振動」「悪臭」「粉塵」などの多岐の項目の中で、明らかに抵抗制御車は抵抗周辺での電気の無駄と回生制動ができないことに起因する反 省エネルギー、直流電動機等の構造に起因する多大なる騒音(私の家から、113系の音はすごくよく聞こえるのに209系の音は聞こえない)、車輪フラットややはり直流電動機関係の振動、ブレーキシューや可動部分の磨耗による磨耗粉、鉄粉(粉塵)と、多くの面でインバータ制御車にはるかに劣るにも関わらず、依然多くが走り続けているなんて…ねぇ。
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保守の面から見ても、抵抗制御車は明らかに劣っていることがわかる。
抵抗制御車で月検等で目視、加修、交換、測定、清掃、さらに重全検の際には分解も要する整流子、刷子、保持器は、そもそも誘導電動機には存在しない。
回転子に関しても、誘導電動機では、月検ごとの目視、清掃は必要とせず、重全検での清掃にとどまる。
軸受に関しても、高い制御の技術により、清掃・分解といった作業は必ずしも必要な作業ではなくなった。高圧絶縁監理も、抵抗制御車に比べ、インバータ制御車では固定子のみで良くなっている(抵抗制御車は電機子も・誘導電動機にはこれはない)。
抵抗制御車で重要とされていた、いわゆる「長年の経験」「勘」といったものは、インバータ制御車ではほとんど必要ではなくなり(もっとも、事故の経験など、重要な部分は継承されていくべきである)、技術継承に必要な企業コスト(いちいち新入社員を集めてベテランの就業時間を割いてまで長い講習会を行なう、など)を省けるだけでなく、作業の不均質がなくなり、電車1両1両の運転・保守上の差を考える必要がなくなり、従って全体の信頼性・安全性が増している。
また、直流主電動機の保守は、「作業者が伏臥姿勢で行なうもので、特に夏場における作業環境はいっそう厳しさが加わる」ということだ。
ここまで恐ろしい作業をする必要がどこにあろうか。
?
他にも、インバータ制御車ではマイコンで行なわれている仕事を司るカム接触器・逆転器・転換器・各種継電器・各種絶縁の清掃、注油、加修、分解、交換、測定は、一切不要となっている。
また、遮断気・断流器の小型化・単純化により、注油、加修、分解、交換の必要性は下がった。
あくまで機械的な制御は行なわれていないため、空ノッチ試験も不要である。
唯一、従来車では存在しなかった電子部品の寿命管理が重要であるが、これも前述の多くの保守に比べればそう難しいことではないだろう。
「使い捨て電車」。この言葉を使ったことのある香具師は、この辺よく読むべき。
さらに、高粘着や電制の有効活用などにより、台車寿命は従来の8年より長い10年に、さらに制輪子の寿命は抵抗制御車3〜5万kmに対し6〜12万kmである。209系以降の電車を「使い捨て電車」と呼ぶ輩がいるが、直流電動機に含まれる整流子、刷子・保持器、回転子や、カム接触器、逆転器・転換器、各種継電器、さらには台車、制輪子の寿命等を考えると、部品を多く“使い捨て”にしているのは、むしろ103系、113系などの抵抗制御車である、ということがわかる。
「使い捨て電車」の蔑称は、209系ではなく、103系に用いられるべき蔑称なのではなかろうか。
…209系を「使い捨て電車」と蔑むのがどんなに愚かなことかおわかりいただけただろうか。
?
抵抗制御車の愚かさを語るのはそろそろやめにして、本題のインバータ制御車に戻りましょうか。
第1章では、鉄道経営からみたインバータ制御車、鉄道と新システムについて、開発の経緯、さらにはインバータ制御そのものに関しての総論が書かれています。
鉄道経営陣は、界磁チョッパ制御などをはじめとした直流電動機制御の発展形には満足できなかったこと、保守、環境、性能のすべての面においてインバータ制御は夢のようなものであったこと、そして海外ではなんと100年前、国内でも30年弱前から開発は行なわれていたことが記されています。
?
非常に面白いと思ったのが、1903年には、ドイツで三相交流電動機駆動電車がつくられ、試験が行なわれたということです。
パンタグラフを3つ持った、怪しげな電車を三相交流の架線から電気を取りいれさせ、走らせるという、100年前に行なわれたということに驚きを禁じえない、そんな試験が行なわれていたのです。
100年前といえば、日本に鉄道ができてから、まだ多くの年月は経てないころだったというように記憶しています。そんなころから、すでにインバータ制御電車の基礎は研究されていた…。
もっとも、当時の技術ではこの怪しい電車を走らせるのが限度だったようで、本格的な研究は、電力半導体が開発される1950年代までのばされてしまいました。
(中略)保守の技術水準が高い日本では、欧州よりも少々開発開始は遅れ気味でした。
しかし、それでも省エネルギーや、高性能への期待から、日本でもインバータ制御車の開発が開始され、…(略
?
あとの、仕組みの方は、後の章をもう少し読み進めてみないとなんとも言えないので、ここでは省略させていただきますです。
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なんか、消えてしまったので、あとは記憶の中からサルベージした情報を。
・データ類は、すべて「インバータ制御電車概論」より。
・ただし、解釈はすべてやてさん。
3160文字
第7章まであるので、まだまだ序の口ですが。
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この手の専門書、ついに手を出してしまった感があるのですが、やっぱり読み応えが文庫本の類とは比べ物にならないです。
っていうか、そもそもあんまり理系じゃない人間、しかも高校数学や物理もロクに習っていない厨房が読んでるんで、もうわからないところは無視してます。
1冊まるまる読み終えたあとでもう一度読み直せばいい…という邪な考えの下で。
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しかし、こんな素人でも、インバータ制御の技術がいかに画期的か、ということが、十二分に伝わってきます。
この間も書いたけど、難しそう…なんて言ってないで、みんな読むべきじゃないのだろうか。
まぁ、明らかに誇張表現なんだけどね。
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別章1に、「従来車両(直流車)の保守と性能」と題して主に抵抗制御車について書かれていますが、こちらははるかに簡単に読み進めることができました。所詮抵抗制御は単細胞なんです。大袈裟か。
…なんか敬体がキツくなってきたんでしばらく常体でいきます。
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それにしても、読めば読むほどインバータ制御車の偉大さが分かってくると同時に、直流電動機車、特に抵抗制御車への憤りが増してくる。
ISO14000シリーズの内容に含まれる、「エネルギー」「排出ガス」「騒音」「振動」「悪臭」「粉塵」などの多岐の項目の中で、明らかに抵抗制御車は抵抗周辺での電気の無駄と回生制動ができないことに起因する反 省エネルギー、直流電動機等の構造に起因する多大なる騒音(私の家から、113系の音はすごくよく聞こえるのに209系の音は聞こえない)、車輪フラットややはり直流電動機関係の振動、ブレーキシューや可動部分の磨耗による磨耗粉、鉄粉(粉塵)と、多くの面でインバータ制御車にはるかに劣るにも関わらず、依然多くが走り続けているなんて…ねぇ。
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保守の面から見ても、抵抗制御車は明らかに劣っていることがわかる。
抵抗制御車で月検等で目視、加修、交換、測定、清掃、さらに重全検の際には分解も要する整流子、刷子、保持器は、そもそも誘導電動機には存在しない。
回転子に関しても、誘導電動機では、月検ごとの目視、清掃は必要とせず、重全検での清掃にとどまる。
軸受に関しても、高い制御の技術により、清掃・分解といった作業は必ずしも必要な作業ではなくなった。高圧絶縁監理も、抵抗制御車に比べ、インバータ制御車では固定子のみで良くなっている(抵抗制御車は電機子も・誘導電動機にはこれはない)。
抵抗制御車で重要とされていた、いわゆる「長年の経験」「勘」といったものは、インバータ制御車ではほとんど必要ではなくなり(もっとも、事故の経験など、重要な部分は継承されていくべきである)、技術継承に必要な企業コスト(いちいち新入社員を集めてベテランの就業時間を割いてまで長い講習会を行なう、など)を省けるだけでなく、作業の不均質がなくなり、電車1両1両の運転・保守上の差を考える必要がなくなり、従って全体の信頼性・安全性が増している。
また、直流主電動機の保守は、「作業者が伏臥姿勢で行なうもので、特に夏場における作業環境はいっそう厳しさが加わる」ということだ。
ここまで恐ろしい作業をする必要がどこにあろうか。
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他にも、インバータ制御車ではマイコンで行なわれている仕事を司るカム接触器・逆転器・転換器・各種継電器・各種絶縁の清掃、注油、加修、分解、交換、測定は、一切不要となっている。
また、遮断気・断流器の小型化・単純化により、注油、加修、分解、交換の必要性は下がった。
あくまで機械的な制御は行なわれていないため、空ノッチ試験も不要である。
唯一、従来車では存在しなかった電子部品の寿命管理が重要であるが、これも前述の多くの保守に比べればそう難しいことではないだろう。
「使い捨て電車」。この言葉を使ったことのある香具師は、この辺よく読むべき。
さらに、高粘着や電制の有効活用などにより、台車寿命は従来の8年より長い10年に、さらに制輪子の寿命は抵抗制御車3〜5万kmに対し6〜12万kmである。209系以降の電車を「使い捨て電車」と呼ぶ輩がいるが、直流電動機に含まれる整流子、刷子・保持器、回転子や、カム接触器、逆転器・転換器、各種継電器、さらには台車、制輪子の寿命等を考えると、部品を多く“使い捨て”にしているのは、むしろ103系、113系などの抵抗制御車である、ということがわかる。
「使い捨て電車」の蔑称は、209系ではなく、103系に用いられるべき蔑称なのではなかろうか。
…209系を「使い捨て電車」と蔑むのがどんなに愚かなことかおわかりいただけただろうか。
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抵抗制御車の愚かさを語るのはそろそろやめにして、本題のインバータ制御車に戻りましょうか。
第1章では、鉄道経営からみたインバータ制御車、鉄道と新システムについて、開発の経緯、さらにはインバータ制御そのものに関しての総論が書かれています。
鉄道経営陣は、界磁チョッパ制御などをはじめとした直流電動機制御の発展形には満足できなかったこと、保守、環境、性能のすべての面においてインバータ制御は夢のようなものであったこと、そして海外ではなんと100年前、国内でも30年弱前から開発は行なわれていたことが記されています。
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非常に面白いと思ったのが、1903年には、ドイツで三相交流電動機駆動電車がつくられ、試験が行なわれたということです。
パンタグラフを3つ持った、怪しげな電車を三相交流の架線から電気を取りいれさせ、走らせるという、100年前に行なわれたということに驚きを禁じえない、そんな試験が行なわれていたのです。
100年前といえば、日本に鉄道ができてから、まだ多くの年月は経てないころだったというように記憶しています。そんなころから、すでにインバータ制御電車の基礎は研究されていた…。
もっとも、当時の技術ではこの怪しい電車を走らせるのが限度だったようで、本格的な研究は、電力半導体が開発される1950年代までのばされてしまいました。
(中略)保守の技術水準が高い日本では、欧州よりも少々開発開始は遅れ気味でした。
しかし、それでも省エネルギーや、高性能への期待から、日本でもインバータ制御車の開発が開始され、…(略
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あとの、仕組みの方は、後の章をもう少し読み進めてみないとなんとも言えないので、ここでは省略させていただきますです。
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なんか、消えてしまったので、あとは記憶の中からサルベージした情報を。
・データ類は、すべて「インバータ制御電車概論」より。
・ただし、解釈はすべてやてさん。
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